ブログ「®奮闘記」

ネイルサロン・美容サロン・治療院などにとっての商標申請

2019年5月31日

ネイルサロン・美容サロン・治療院など店舗系のサービス業の商標登録が増加しています。

これらサービス業の特徴として、①競合との差別化を行うということ、②ブランディング、③リピート率を高めていくことが重要であると感じることがあります。
今回は、ネイルサロン・美容サロン・治療院など店舗系のサービス業の商標申請について、解説させていただきます。
これらサービス業として、取得すべきものは、まずは店舗の名称になります。店舗の名称については、看板などで顧客の目につきやすいです。
以前、地元では有名な店舗があり、近くに紛らわしい名称の店があることから、顧客がそちらの店に間違えて行ってしまうということがありました。
このようなことが起きてしまうと、せっかく積み上げきた顧客からの信用を無くしてしまうということにもなりかねません。

 例えば、ある治療院Aですが、横浜と、東京都内にて2店舗で運営していました。こちらの治療院A、院長の腕が素晴らしく、口コミと紹介で新規顧客を次々と獲得している状況でした。
 ある日、接骨院Aを紹介したところ、近くの似た名前の接骨院Bに間違えて行ってしまうということがありました。
 別の日には、この治療院Aの紹介を受けた方から、東京の治療院Aに行ったものの、聞いていたのと全然違うサービスが提供されたという苦情が寄せられました。
 治療院Aの院長は、おかしいなと感じていたものの、同じような苦情が何件か寄せられました。調べてみると、東京の店舗と同じエリアに、ほとんど同じ名前の治療院Bがあり、そこに間違えて紹介者が行っているとのことでした。
 治療院Aの院長の方は、自分の方が先に治療院の名前を使っていたのに、名前を真似され、しかも顧客から苦情まで寄せられているという状況に怒りを覚えました。
 なんとかして、紛らわしい名前の使用を中止させたいと考えた治療院Aの院長は商標権を取得することを決めました。

その後、弊所に商標申請をしたいとの問い合わせがあり、申請を行い、順調に商標権を取得できました。

商標権を取得した治療院Aの院長は、治療院Bに対し、商標権を侵害している旨の警告状を送付しました。治療院Bは、名称変更を余儀なくされ、HPのデザインから店の看板までを全てを変更することになりました。同時に、治療院Bがこれまで地元で築き上げてきたブランドイメージや、顧客からの認知度も失うことになってしまいました。
さらに、損害賠償請求もされており、商標の使用を差し止められた後には、HP、看板や、チラシなどを作り直す費用も発生することになります。
 このような状況になってしまうと、事業の継続自体が危うくなってしまいます。

また、最近では、ホットペッパービューティーや、食べログなど店名を簡単に検索されるため、商標権を侵害していることが商標権者から発見されやすいという実情もあります。
特に、店舗系サービス業にとっては、多店舗化していく上では、商標権を取得していないことは経営のリスクになります。そのため、店舗数が増えれば増えるほど、商標権を取得する必要性が高まります。

次に、これらの店舗系サービス業の業界の特徴として、開業のハードルが低く、競合の店舗が増加しているのに対し、単価が下落しているということが挙げられます。

例えば、ネイルサロンの業界では、店舗数が年々増え続けている一方で、ネイル1回あたりの単価が低価格化していることもあり、1店舗あたりの売上は2008年以降、減少傾向にあります。

そのため、競合の店舗と差別化するためのメニュー名や、施術名などを商標権で保護してブランディングをしていくことが重要になります。

また、ネイル業界では、サービス名や施術名が模倣されやすいという実情があります。

ネイルサロンにて、サービス名を保護している実例としては次のものがあります。

こちらの「一層残し」という商標は、ネイルの施術方法についてのものです。
ネイルの施術方法というのは、通常は、爪をやすりで磨いた上にベースジェルを塗ります。そして、ベースジェル上に樹脂を紫外線で固めることで行います。ネイルを再度、施術し直すときには、ベースジェルまで全てを除去して、再度、爪をやすりで磨かなければならないため、爪が痛むという問題があります。

こちらの「一層残し」という施術方法は、再度、施術し直すときには、ベースジェルを残し、そのベースジェル上に新しい樹脂を固めることで行います。再施術の際に爪をやすり磨きなおすことをしなくなるため、爪が痛みにくいという効果があります。

このような施術方法について、商標で権利化することによって、同業に「一層残し」という言葉を使われることを防止できます。

また、一層残しという施術方法が、商用権者のものである(商標権者が第一人者)と認識されることで、ブランディング効果があり、価格競争に飲み込まれることを防止できるという効果があります。

せっかく考えた名称と、メニューを真似させることを防止し、市場優位性を維持するためにも、これらの権利化は重要と言えます。