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商標申請が拒絶された場合の対応方法(一般名称編)

2019年1月8日

審査にそのまま通った場合は、登録査定というものが通知されます。
一方で、申請をした後に、特許庁から「拒絶理由通知」というものが送られることがあります。「拒絶理由通知」というものの響きからすると、これ以上はもう権利化する術がない思われる方も多いと思います。
しかし、拒絶理由通知自体は、適切に対応をすれば、解消するケースも多いです。
拒絶理由通知に対しては、「意見書」というものを特許庁に提出することで、審査官の誤解を解くことができます。

拒絶理由としては、商標が一般名称であることと言われることがあります。

今回は、一般名称と言われた場合の対応策について解説します。

拒絶理由ですが、例えば、「展示会営業」という商標を申請したところ、審査官から「展示会営業」という商標が「展示会方式での営業」を意味するため一般名称であると認定されたことがあります。その後

このような拒絶理由に対しては、下記の項目を検証した上で、意見書を提出することで解消できる可能性があります。

1.申請中の商標から複数の意味の解釈が可能かを検討する

一般名称とは、その商標から、ある特定の意味合いが導かれる場合に該当します。今回、審査官は、「展示会営業」という商標から「展示会方式での営業」との特定意味のみが導かれることを理由に、一般名称として認定しています。
そのため、「展示会方式での営業」以外の意味合いが、「展示会営業」から生じることになれば、一般名称には該当しないということになります。
今回のケースでは、「展示会営業」という商標から、「展示会場にて行う営業」や「展示会を活用した営業」や「展示会そのものを営業する」などの意味が生じる可能性があるので、その点(特定の一つの意味合いを生じない点)を反論できます。

2.審査官の認定に飛躍がないかを検討する

「展示会営業」の文字から「展示会方式での営業」という意味合いが導かれるという認定に飛躍がないかを検討します。

今回のケースでは、「展示会営業」の文字が示す概念と「展示会場にて行う営業」や「展示会を活用した営業」などの「展示会方式での営業」という概念の間に飛躍があるかを検討します。飛躍がある場合には、その飛躍した内容へと解釈をする審査官の認定が誤りである旨の反論が可能になります。

今回のケースでは、具体的には下記のような反論が可能です。

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本願拒絶の理由では、本願商標「展示会営業」の文字から「展示会方式での営業」という意味合いが導かれると認定していますが、この背景には「展示会営業」の文字が示す概念が「展示会場にて行う営業」や「展示会を活用した営業」と同義であるという解釈が介入しています。このような解釈を前提として初めて「展示会方式での営業」という意味合いが導かれるからです。
ところが、「展示会営業」の文字が示す概念と「展示会場にて行う営業」や「展示会を活用した営業」という概念の間には、合理的・直接的な関連性は認められません。かりに、本願商標が「展示会場営業」や「展示会活用営業」等の文字で構成されており「場」「活用」などが「方式」の意味に結び付くと考えるのであれば、これらを「展示会場にて行う営業」や「展示会を活用した営業」と同義に解釈する余地があるかもしれません。
しかし、本願商標はあくまでも「展示会営業」の文字で構成されているものであり、「場」「活用」などの文字を構成要素としておりません。それにも関わらず、ここで唐突に「方式」の概念を混入させ、「展示会方式での営業」と同義に解釈する点は合理的な根拠を欠くと言わざるを得ません。
万一、「展示会営業」の意味を「展示会方式での営業」に限定したとしても、それが、審査官殿が認定されたように「展示会方式での営業による役務の提供」にまで発展させるのは、恣意的に展示会営業の意味を拡張するものであると思料いたします。
例えば、商標が「自販機営業」であっても、自販機方式の営業による役務の提供であると言えてしまいます。
もちろん、この自販機方式の営業による役務の提供というのは漠然としていて何を意味するのか不明です。例えば、自販機を設置することで商業上の事業を行うことを意味するのかもしれませんし、営業担当者が設置された自販機のように一定の場所に留まって商業上の事業を行うことを意味するのかもしれません。その他の意味とすることも任意に可能です。
このように、「○○」と「営業」とを組み合わせた言葉について、どのような言葉であっても「○○方式での営業による役務の提供」であり役務の態様であると認定することは、どのような言葉であっても役務の態様に該当するとして、登録にならないということになってしまいます。そのため、「展示会営業」についても役務の態様であると認定することは妥当ではないと思料いたします。
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このケースでは、「展示会営業」の「展示会」と「営業」とを繋げる言葉がないことが反論の材料となりました。

仮に「展示会場営業」や、「展示会活用営業」や「展示会での営業」などのように、「展示会」と「営業」とを繋ぐ用語を含めて申請をした場合、一般名称と認定されやすく、反論が困難ということになります。

3.造語である旨の反論が可能かを検討する

申請している商標が全体として造語と言える場合、一般名称には該当しないとの反論が可能です。
全て漢字で構成されている場合や、全てが片仮名・平仮名で構成されている場合には、造語と言いやすくなる傾向にあります。
また、商標を構成する用語と用語との間にスペースなどを設けない方が、一つのまとまった単語と認識されやすくなり、造語と言いやすくなります。

今回のケースでは、具体的には下記のような反論が可能です。
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本願商標は、願書に添付した内容から明らかなように、漢字文字で一連に「展示会営業」と書した態様からなるものであります。そのため、本願商標「展示会営業」は、むしろ全体として単に、展示会または営業と関係する何かを意味する一種の造語を表したものとして認識されるものと言えます。そして、本願商標の「展示会営業」は、本願指定役務との関係において、一般的に通用し確立された意味を有する言葉とはなっておらず、「展示会方式での営業」の意味を直接的かつ具体的に表示したものではありません。
このように、本願商標「展示会営業」の文字が「展示会方式での営業」の意味を表示したものと理解されない以上、本願商標を「商品の販売に関する情報の提供,市場調査又は分析,知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」に使用したとしても、これに接する需要者が役務の態様を表示するものと認識することがあるとは到底、考えられません。
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4.インターネットなどの使用例を調査する

インターネット上で、「展示会営業」という言葉が、「展示会方式での営業」を意味する用語として、一般的に使われているか検索エンジンを使って調査します。拒絶されている商標が、なんらかの意味として一般的使われていない場合は、反論の材料となります。
今回のケースでは、具体的には下記のような反論が可能です。

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「展示会営業」についてインターネットで検索したところ、「展示会営業」という単語を含むサイトは出願人のサイト以外はほとんどヒットせず、また、同業者のWebサイトやサービスカタログ類を見ても、「展示会営業」の言葉は存在しません。
以下は、「展示会営業」をキーワードとして検索した結果としてヒットしたサイトですが、これらを見てもわかりますように、「展示会方式での営業」を表す言葉としまして、決して、「展示会営業」の言葉は用いられておりません。にもかかわらず、「展示会営業」が「展示会方式での営業」を意味するものとして、断定することは困難であると思料いたします。

・絶対成功する展示会出展とは?展示会から顧客を獲得するための4つのポイント
http://www.onemarketing.jp/lab/exhibition/28
・【傾向と対策】展示会出展で「今すぐ」の営業案件が減っている
https://blog.kairosmarketing.net/exhibition/exhibition-objectives-20131021/
・営業支援エキスポ
http://www.ss-expo.jp/
また、「展示会営業」の文字が、展示会の参加者や開催者などの間で、役務の態様を表示するものとして普通に用いられている事実も見当たりません。
そのため、本件商標「展示会営業」はあくまで特定の観念を有しない造語と理解すべきであって、十分に識別性を発揮するものと思料致します。
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5.類似する事例の登録例を調べる

展示会+○○や、○○+営業などの登録例がある場合には、そのことを根拠に反論できます。
例えば、ブランディング営業という商標の先行登録例があります。そのため、ブランディングという一般的な用語+営業という用語については、一般名称とは認定されないことや、本件も同様に登録しなければ審査の平等性に反する旨を反論できます。

今回は、一般名称であることを理由に反論された場合の対応について解説させて頂きました。「展示会営業」の商標については、上記のような反論をすることで登録になりました。最後まで絶対に諦めないということが大切です。