ブログ「®奮闘記」

商標権の侵害!?~警告状ってなんだろう~

2018年3月22日

事業を始めてしばらくたったある日、A様に1通の郵便が届きました。
ハンコを押して受け取ったその手紙を開けてみると、表題には「警告状」と書いてあって…。

先日お電話で、「商標を侵害しているという手紙が届いたけれど、どうしたらいいのか」というご相談をいただきました。A様はとても困惑されている様子でした。いきなりそんな書面が来たら驚かれるのも当然かと思います。表題には「警告状」ではなく「通知書」と記載されていることもあります。

今回は、
・商標権の侵害についての「警告状」とはどんなものなのか?
・届いてしまった場合には具体的にどんな対応をすればよいのか?
・「警告状を」受け取らないための方法

についてお話します。

1.警告状が届く理由

そもそも警告状は、どんな時に届くのでしょうか。
警告状の差出人は、商標権者か、その代理人(弁理士または弁護士)であることがほとんどです。

商標権者は、自分が登録した商標と同じ、または似ている名称(ロゴ)を他人が同じサービスや商品に使用していることを知って、「使用を止めさせたい」と思った時に警告状を作成し、送付します。

使用を止めさせたいと思う、ということは、
例えば、あなたがその商標を使用している事実が、
・業界内でメジャーになってきた
(たとえば、雑誌などの媒体に取り上げられた・人のブログ内でよく紹介されているなど)
・その商標でインターネット検索をすると、上位に出てくる
ということが挙げられます。

つまり、事業が軌道に乗ってきたタイミングで、警告状を受け取ってしまう可能性が高いのです。

2.警告状の中身

警告状はふつう、簡易書留や内容証明郵便といった直接受け取る形で届くことがほとんどです(最近は、電子内容証明を使う方もいます。)。
本文には、「あなたの使用している商標は、私の登録商標と同一だから使用を止めるように」
といった内容と、侵害している登録商標と登録番号が記載されています。

このように、使用停止の要求だけが示されている警告状もありますが、
A様の場合は、以下の内容も求められました。

・警告状に対する誠意のある回答(回答期限あり)
・商標がついた商品の全部廃棄、過去の写真等の全部削除(期限あり)
・廃棄や削除を行った証明書類の提出
・和解金の支払い

回答や削除期限が短く設定されており、
また、和解金が高額という、大変困難な内容でした。

3. 警告状を受け取った場合の対応

万が一、こういった警告状を受け取ってしまったら、慎重な対応が必要です。
具体的には、以下のような流れで対応していきます。

ア. 侵害していると指摘された(警告書記載の)登録商標を調べる

① 登録商標が本当に登録されているか
(=出願中でまだ登録になっていない、拒絶査定になっている、ということはないか)
② 登録期間満了になっていないか(=期限切れではないか)
→差出人が代理人(弁理士や弁護士)の場合は、これらに該当しないことがほとんですが、念のため調べておいた方がよいです。

イ. どんな商品やサービス(指定商品・役務)で登録されているか確認する

ウ. 自分の使用状況を確認する

① 侵害されたと主張された商標と、自分が使用している商標は似ているのか
→見た目・読み方・印象の観点から、同じまたは類似しているといえるのかを検討します。
② 登録されている指定商品・役務と、同じまたは類似したものに使用しているか
③ ①②に該当する場合、具体的にどこ(HPやFacebook、名刺)に使用しているか

エ. 指定商品・役務での使用を止める

→該当する全ての記載や使用を削除します。商品に使用している場合には、全て廃棄したり変更する必要があります。
けれど、全てを削除しても、クライアントや知人が掲載していることもあるかと思います。その場合には、削除を依頼しますが、それを削除するかは掲載者次第です。ですから、後々「使用を止めていない」と指摘されることが不安であれば、削除を依頼した証拠(メールなど)を残しておくと安心です。

A様の場合には、これらに加えて、警告状への回答と和解金の交渉が必要でした。

警告状を受け取っても慌てずにきちんと対応すれば、大変な事態になることはほとんどありませんが、これらの対応を怠った場合、、、

最悪、訴訟を起こされる可能性も否定できません。
訴訟になってしまった場合には、使用の差止請求に加え、損害賠償の請求や不当利得返還請求、さらに刑事罰にまで発展する可能性があります。
これは、商標を侵害しようと思って行ったかどうかは関係がありません。

万が一、警告状を受け取ってしまったら、一度、専門家(弁理士や弁護士)に相談したり、対応を依頼することを検討しましょう。とくに、和解金やライセンシーについては、ご自身で交渉するのは困難であることがほとんどです。

4.警告状を受け取らないために

では、警告状を受け取らないためには、どうすればよいのでしょうか。

まずは、今使っている名前やロゴを一度調べてみることをオススメします。
(調べ方はこちらでご紹介しています)
「分野やカテゴリーの名称だし、一般名称なので大丈夫」とは思わないでください。
万が一、それが商標登録されてしまうと、警告状が来る可能性が一気に高まります。

そして、商標を申請することも検討してみてください。
商標権を確保してしまえば、警告状が来る不安は一気になくなります。

せっかく始めた事業、軌道に乗ってきた事業をダメにしないためにも、リスクを避ける対策をとっておくことは、とても重要なことですよ。